「災害が起きたら、うちの子も一緒に避難所へ行けるから大丈夫」。以前の私は、なんとなくそう思っていました。ところが、防災について調べ始めると、「同行避難」と「同伴避難」という似た言葉があって、意味がまったく違うと知り、少しドキッとしました。

※イメージ画像です(AIにより生成)
うちのラブラドールは12歳。体も大きく、環境の変化にも以前ほど強くありません。だからこそ、「避難所でどう過ごすことになるのか」を、元気なうちに知っておきたいと思いました。この記事では、環境省のガイドラインや自治体の公式情報をもとに、2つの言葉の違いと、飼い主が今のうちに確認・準備したいことを整理します。
結論:「同行避難」は一緒に避難すること。「同伴避難」は避難所でペットを飼養管理すること
最初に、いちばん大事な点です。環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、2つの言葉が次のように整理されています。
- 同行避難:ペットと一緒に避難場所へ向かう「行動」
- 同伴避難:避難場所で、ペットを飼養管理する「状態」
そして、同行避難ができても、避難所の中で人とペットが同じ部屋で過ごせるとは限りません。横浜市の公式ページにも、同行避難は避難行動を示す言葉で、避難所内で飼い主がペットを同室で飼育管理することではない、と明記されています。
この記事でわかること
- 同行避難と同伴避難の違いと、よくある誤解
- 避難所でのペットの扱いの現実
- 平常時に確認・準備したいこと(チェックリスト)
- 今日からできる5つのステップ
2つの言葉の違い
| 言葉 | 意味 | 行動か、状態か |
|---|---|---|
| 同行避難 | ペットと一緒に避難場所まで避難すること | 行動 |
| 同伴避難 | 避難場所で、飼い主がペットを飼養管理すること | 状態 |
環境省のガイドラインは、2013年に策定された旧ガイドラインを、2016年の熊本地震の経験をふまえて改訂し、2018年(平成30年)に「人とペットの災害対策ガイドライン」として公表されたものです。この改訂で、2つの言葉の概念が整理されました。
よくある3つの誤解
誤解1:同行避難=避難所で同じ部屋で過ごせる
同行避難は、あくまで「ペットを連れて避難する」ことです。避難所の中で、ペットと同じ空間で寝起きできるかどうかは、別の問題です。
誤解2:同行避難ができるなら、どの避難所でも受け入れてもらえる
避難所でペットと一緒に過ごせるかどうかは、避難場所ごとに判断されます。受け入れの体制や、ペットを飼養するスペースの有無は、自治体や避難所によって違います。
誤解3:避難所に行くしか選択肢がない
ガイドラインの解説では、在宅避難も選択肢のひとつとして認められているとされています。自宅が安全な状態であれば、無理に避難所へ行かず、自宅で過ごすことも考えられます。
避難所でのペットの現実
実際の避難所では、ペットはどう扱われるのでしょうか。横浜市の公式ページでは、避難所でのペットの管理は飼い主が責任を負い、一時飼育場所が設けられると説明されています。あわせて、動物が苦手な人や、動物アレルギーなどの理由で動物と一緒にいられない人への配慮が必要だとされています。
そのため、ペットは人の居住スペースとは別の場所(屋外の専用スペースや、建物内の別室など)で管理されることが多いと解説されています。人とペットが分けられる傾向があることは、知っておきたいポイントです。
平常時に確認・準備したいこと
では、飼い主は何を準備しておけばよいのでしょうか。横浜市の公式ページとガイドラインの内容から、主なものをまとめます。
1. 自治体の方針と、最寄りの避難所の状況を確認する
お住まいの自治体が、ペットの同行避難についてどんな方針を持っているか、最寄りの指定避難所がペットを受け入れているかを、事前に確認しておきます。
2. キャリー・ケージに慣れさせる
ガイドラインでは、ペットと一緒に避難できるよう、日頃からキャリーバッグやケージに入ることに慣れさせておくことが必要とされています。
キャリーに慣れさせる練習は、次のように少しずつ進めると、嫌がりにくくなります(一般的なしつけの進め方の一例です)。
- 普段から、キャリーやケージの扉を開けたまま、いつも過ごす場所に置いておく
- 中でおやつを食べさせたり、お気に入りの毛布を敷いたりして、「良い場所」と覚えさせる
- 慣れてきたら、扉を閉めて数分だけ過ごさせる
- 少しずつ時間を延ばし、飼い主が少し離れても落ち着いていられるようにする
- 閉じたキャリーに入れたまま、持ち運んだり、車に乗せたりする練習もする
3. 備蓄は「少なくとも5日分、できれば7日分以上」
横浜市の公式ページでは、ペット用の非常持ち出し袋に、少なくとも5日分以上(できれば7日分以上)の物資を準備するよう案内されています。必需品の例として、フード、水、薬、ペットシーツ、リード、糞尿処理用具、飼育手帳(飼い主の連絡先やペットの写真など)が挙げられています。
4. しつけと健康管理
人や他の動物との接触に慣れる、音や物に慣れる、無駄吠えをしない、全身を触られても落ち着いていられる、といった社会化が、避難所生活では役立ちます。また、狂犬病予防接種やワクチン、ノミ・ダニの駆除を、日頃から行っておくことも大切です。
5. 迷子対策
災害時は、ペットがはぐれてしまうおそれがあります。飼い主の連絡先が分かるよう、迷子札やマイクロチップなどで、飼い主を明示しておきましょう。
6. 一時的に預けられる場所を探しておく
避難所でペットを受け入れてもらえない場合に備えて、動物病院・ペットホテル・知人宅など、一時的に預けられる場所を、事前に確保しておくことが推奨されています。
避難先の選択肢を、いくつか持っておく
避難所が唯一の選択肢とは限りません。状況に合わせて選べるように、複数の避難先を考えておくと安心です。
| 避難先 | 考え方 | 事前にやっておきたいこと |
|---|---|---|
| 自宅(在宅避難) | 自宅が安全な状態であれば選択肢になる | ハザードマップで自宅の危険度を確認、備蓄を十分に |
| 指定避難所 | ペットの受け入れ体制は避難所ごとに違う | 自治体・避難所へ受け入れの有無を確認 |
| 親戚・友人宅 | ペットと一緒に受け入れてもらえるか事前に相談 | 日頃から相談し、必要な物の置き場所も決めておく |
| 動物病院・ペットホテル | 一時的な預け先としての選択肢 | 災害時の受け入れ方針を、事前に問い合わせる |
どの選択肢も、災害が起きてから探すのは難しいものです。平常時に、一つでも多く確保しておくことが、いざというときの安心につながります。
避難所に着いてからの心がけ
横浜市の公式ページでは、避難所でのペットの管理は飼い主の責任とされています。避難所では、動物が苦手な人やアレルギーのある人もいるため、次のような配慮が求められます。
- 指定された場所で飼養し、決められたルールを守る
- 排泄物は、すぐに片付けて衛生を保つ
- 無駄吠えが続かないよう、ケージの中で落ち着かせる
- 周りの人に、ペットが苦手な人もいることを意識して接する
飼い主さんの普段のしつけと心がけが、避難所での居心地や、ほかの避難者との関係に直結します。
シニア犬と暮らす飼い主として思うこと
うちの子のようなシニア犬は、環境の変化に敏感になりがちです。そのため、私は次のことを意識するようにしています。
- 毎日飲んでいる薬や、いつも食べているフードは、予備を多めに用意する
- ケージやキャリーに、ふだんから短時間入る練習をしておく
- 体が大きいぶん、移動の手段(車や台車など)を、現実的に考えておく
もちろん、これは私の個人的な備えで、すべての犬に当てはまるわけではありません。愛犬の年齢や体格、持病に合わせて、かかりつけの先生にも相談しながら、備えを考えていきたいと思います。
防災グッズの準備は、姉妹記事もあわせて
備蓄品や避難袋の中身については、別の記事でも詳しく整理しています。環境省ガイドラインをもとにした「人間用の備蓄だけでは愛犬を守れない3つの理由」、市販の防災セットの選び方をまとめた「愛犬を守る防災セット|避難スタイル別の選び方」、「+α」で完成させる避難袋の記事も、あわせてご覧ください。
今日からできる5つのステップ
- お住まいの自治体のホームページで、ペットの同行避難に関する方針を確認する
- 最寄りの指定避難所について、ペットの受け入れの有無を問い合わせる
- キャリーやケージを出して、愛犬が落ち着いて入れるか試してみる
- 5日分以上(できれば7日分以上)のフード・水・薬を、非常持ち出し袋にまとめる
- 迷子札やマイクロチップの情報が、最新になっているか確認する
まとめ
- 同行避難は「一緒に避難する行動」、同伴避難は「避難所でペットを飼養管理する状態」
- 同行避難ができても、避難所で同じ部屋で過ごせるとは限らない
- 受け入れ体制は避難所ごとに違うので、事前に自治体へ確認する
- 備蓄は5日分以上(できれば7日分以上)、キャリー慣れ・迷子対策・一時預け先も準備する
よくある質問(FAQ)
Q. 避難所にペットを連れて行ってもいいのですか?
同行避難が基本とされていますが、避難所でどう過ごすかは、避難所ごとの体制によります。事前に自治体や避難所へ確認しておきましょう。
Q. 同行避難と同伴避難は、どちらが正しい言葉ですか?
どちらも正しい言葉ですが、意味が違います。環境省のガイドラインでは、同行避難を「行動」、同伴避難を「状態」として整理しています。
Q. 大型犬でも避難所に行けますか?
犬の大きさによる受け入れ可否は、自治体や避難所の方針によって異なります。事前に、お住まいの自治体に確認してください。
Q. 自宅が無事なら、避難しなくてもいいですか?
ガイドラインの解説では、在宅避難も選択肢として認められているとされています。自宅の安全を確認したうえで、ご自身で判断してください。
