犬の狂犬病予防注射|2027年3月の制度変更とシニア犬の猶予

壁のカレンダーと、丸いマットで眠る年老いた柴犬、床に置かれた札付きの首輪 シニア犬の健康と食事

壁のカレンダーと、丸いマットで眠る年老いた柴犬、床に置かれた札付きの首輪

※イメージ画像です(AIにより生成)

結論から言うと、犬の飼い主には、「市区町村への犬の登録」「年1回の狂犬病予防注射」「犬鑑札と注射済票を犬に着けること」の3つが、法律で義務づけられています。厚生労働省の公式ページにも、この3つが並べて書かれています。2026年4月に公布された施行規則の改正により、2027年(令和9年)3月2日から、注射の時期が通年で可能になり、注射済票の年度の決め方も変わります。ただし、年1回の接種義務そのものは、変わりません。

また、老齢や病気などで獣医師が注射を猶予する必要があると認めた犬については、猶予の手続があると、自治体のページに書かれています。この記事では、シニア犬の飼い主向けに、公式情報を整理します。

この記事でわかること

  • 飼い主の3つの義務(登録・注射・鑑札と注射済票)
  • 2027年3月2日から変わること、変わらないこと
  • 老齢・病気の犬の「猶予」の考え方
  • 公式情報で確認できなかったこと

飼い主の3つの義務

厚生労働省「犬の鑑札、注射済票について」には、次のように書かれています。

義務 内容(厚生労働省)
① 犬の登録 現在居住している市区町村に、飼い犬を登録する。生後91日以上の犬が対象。登録は基本的に生涯1回。引っ越した場合などは、移転先の市区町村窓口への届出が必要
② 狂犬病予防注射 飼い犬に年1回の予防注射を受けさせる。市区町村が行う集合注射、または動物病院で接種できる
③ 鑑札と注射済票の装着 登録時に交付される「鑑札」と、注射時に交付される「注射済票」を、飼い犬に着けておく

なぜ必要なのか(公式の説明)

  • 狂犬病は、感染後、発症すると治療することができない。一方、予防注射をすることで、感染は防げなくても発症を予防できる
  • 飼い犬を登録する目的は、犬の所有者を明確にすること。狂犬病が発生した場合に、その地域で迅速かつ的確に対応できる
  • 鑑札を着けていれば、迷子になっても、鑑札から確実に飼い主の元に戻すことができる

また、所有者の分からない犬や、予防注射を適切に受けていない犬(鑑札や注射済票を付けていない犬)は、都道府県等の狂犬病予防員が「抑留」(保健所にけい留し、飼い主がいる犬かを確かめること)を行うと書かれています。

日本の発生状況(厚生労働省)

厚生労働省の「狂犬病」のページには、現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はないが、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で、依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威にさらされていると書かれています。

2027年3月2日からの制度変更

厚生労働省の公布通知(感発0401第1号、令和8年4月1日付)には、狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第73号)が、令和8年4月1日に公布されたと書かれています。施行は、令和9年(2027年)3月2日です。

変わること

項目 これまで 改正後
接種の時期 毎年4月1日から6月30日までの間に受けさせる この期間の規定を廃止し、通年での接種が可能になる
注射済票の年度 毎年3月2日から3月31日までの間に接種した場合、翌年度の注射済票を交付する この規定を廃止し、予防注射を実施した時期と、交付する注射済票の年度をそろえる

通知には、令和9年3月2日から3月31日までの間に予防注射を実施した犬には、令和8年度の注射済票を交付することが書かれています。

変わらないこと

  • 犬の所有者が、毎年1回、予防注射を受けさせる義務は変わらない(通知では、予防注射の実施間隔が延びないよう、「少なくとも毎年同時期に1回」の接種の周知を、自治体に求めています)
  • これまで予防注射期間に行っていた周知・啓発や集合注射を、廃止する意図ではない(通知)
  • 通知では、改正後も「3か月程度の予防注射強化期間」の設定を推奨し、目安として、これまでの4月1日から6月30日を挙げている(自治体の実情に応じて変更は可能)

つまり、2027年3月2日以降も、春に集合注射が行われる地域は多いと考えられます(筆者の整理です。実際の日程は、お住まいの市区町村にご確認ください)。

施行までの間は

改正は令和9年3月2日の施行予定であるため、それまでは、現在の規定(4月1日から6月30日)が適用されます。厚生労働省の「狂犬病」のページにも、「4・5・6月は、狂犬病予防注射月間」と書かれています。今年度(令和8年度)の注射がまだの場合は、お住まいの市区町村の案内をご確認ください。

老齢・病気の犬の「猶予」

シニア犬では、持病や体調により、予防注射が難しい場合があります。渋谷区の公開ページ(2026年7月3日更新)には、次のように書かれています。

  • 犬が老齢、病気などの理由で、獣医師が注射を猶予する必要があると認めた場合は、獣医師が発行した「診断書」などを提出する
  • 提出先は、窓口(直接)、郵送、LINEでの申請など
  • 獣医師の証明の内容によるが、猶予期間は原則として単年度

これは渋谷区の例です。猶予の様式、提出先、期間は、市区町村によって異なります。お住まいの市区町村の窓口やホームページでご確認ください。

受けられるかどうかの判断

予防注射を受けられる体調かどうかは、かかりつけの動物病院(獣医師)が判断します。この記事では、個別の判断はできません。持病や服薬がある場合は、注射の前に、必ず獣医師にご相談ください(一般的な注意です)。

手続・費用の例(渋谷区)

自治体によって異なるため、あくまで一例です。

項目 内容(渋谷区、2026年7月更新のページ)
集合注射 毎年4月に区内の各会場で実施。会場で接種すると、その場で当該年度の注射済票を交付。注射代金は1頭あたり3,200円
動物病院で接種した場合 動物病院から「狂犬病予防注射済証」を受け、区に申請して注射済票の交付を受ける(窓口550円、LINE申請は0円〔郵送料110円〕)
注射済票をなくした場合 再交付の申請が必要(窓口340円)

公式情報で確認できなかったこと

  • 混合ワクチンやフィラリア予防:今回確認した厚生労働省のページで、法律上の義務として示されていたのは、登録・年1回の狂犬病予防注射・鑑札と注射済票の装着の3つです。混合ワクチンやフィラリア予防については、公式の情報を確認できなかったため、この記事では扱いません。かかりつけの動物病院にご相談ください。
  • 猶予の全国共通の様式や、猶予を認める基準(渋谷区の例以外は確認していません)
  • 2027年4月以降の、お住まいの市区町村の集合注射の日程(市区町村の発表をお待ちください)
  • 自治体ごとの手数料(渋谷区の例のみ確認しました)

よくある質問(FAQ)

Q1. 年1回は、いつ受ければいいですか?

現在の規定(2027年3月1日まで)では、4月1日から6月30日の間です(厚生労働省)。2027年3月2日からは、通年で接種できますが、年1回の義務は変わりません。

Q2. 高齢で心配です。受けなくてもいいですか?

自己判断で受けないのではなく、獣医師の診断を受けてください。獣医師が猶予の必要があると認めた場合は、診断書などを提出する手続があります(渋谷区の例)。

Q3. 注射済票をなくしました。

市区町村に、再交付の申請をします。手数料や方法は、市区町村によって異なります(渋谷区の例:窓口で340円)。

Q4. 鑑札はマイクロチップで代わりになりますか?

市区町村が「狂犬病予防法の特例」に参加していれば、マイクロチップが鑑札とみなされる場合があります(厚生労働省・環境省)。注射済票は別に交付されます。お住まいの市区町村にご確認ください。

Q5. 引っ越したときは?

厚生労働省には、引っ越した場合は、移転先の市区町村窓口への届出が必要と書かれています。

まとめ

  • 飼い主には、犬の登録・年1回の狂犬病予防注射・鑑札と注射済票の装着という3つの義務がある
  • 2027年3月2日から、接種の時期が通年になり、注射済票の年度の決め方が変わる。年1回の義務は変わらない
  • 老齢・病気で接種が難しい場合は、獣医師の診断書などによる「猶予」の手続がある(市区町村により異なる)
  • 混合ワクチン・フィラリア予防は、公式情報を確認できなかったため、かかりつけの動物病院に相談する

参考にした公式情報(2026年10月15日確認)

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