ペット保険の見積りを取っていると、「免責金額なし」「免責金額5,000円」といった言葉に出会います。うちの子が12歳になって通院の回数が増えてきたころ、私もこの言葉の意味がきちんと分かっていなくて、「保険料が安いほうでいいかな」と流しかけたことがありました。

※イメージ画像です(AIにより生成)
調べてみると、免責金額は「保険に入ったあとの受け取り額」に毎回効いてくる大事な条件でした。この記事では、保険会社の公式情報をもとに、免責金額の意味と計算の流れ、どちらを選ぶかの考え方を整理します。
結論:免責金額は「保険金が出ない、自己負担になる金額」。通院が多いシニア期は特に確認を
先に要点です。免責金額とは、動物病院でかかった診療費のうち、飼い主さんが自己負担する金額のことです。保険会社から見れば「ここまでは保険金を支払わない」という線で、診療費がその金額に満たなければ、保険金は支払われません。
免責金額を設定すると保険料が抑えられる一方で、通院のたびに自己負担が積み重なります。通院の回数が増えるシニア犬では、免責金額の「あり・なし」と「どの単位で適用されるか」が、受け取れる保険金に大きく影響します。
この記事でわかること
- 免責金額の意味と、補償割合との違い
- 保険金の計算の流れ(公式例つき)
- 免責金額あり・なしの比較と、選び方の考え方
- 契約前に確認したいポイント
免責金額とは
エイチ・エス損保の公式サイトでは、免責金額を「動物病院でかかった診療費のうち、被保険者が自己負担する金額」と説明しています。ペット&ファミリー損保の公式FAQでは、「保険金をご請求いただく際に、お客さまに自己負担していただく金額」とされています。
言い方は違いますが、どちらも「診療費のうち、最初に飼い主さんが負担する部分」という意味です。金額は契約ごとに異なり、5,000円などの設定が例として示されています。
免責金額と補償割合は別のもの
ここで混同しやすいのが、補償割合(70%、50%など)との違いです。
| 項目 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 免責金額 | 保険金の対象から外れる「最初の金額」 | 5,000円 |
| 補償割合 | 保険金の対象になった金額のうち、保険会社が支払う割合 | 70% |
補償割合が70%の場合、残りの30%は飼い主さんの負担です。免責金額がある場合は、これに加えて「免責金額の分」も自己負担になります。つまり、自己負担は「免責金額+補償割合で支払われない部分」の合計になる、という考え方です。
保険金の計算の流れ(公式例)
ペット&ファミリー損保の公式FAQでは、保険金の計算を次の順序で説明しています。
- 治療費から「免責金額×対象日数」を差し引く
- その結果に補償割合(例:70%)を掛ける
公式の例は次のとおりです。治療費が500,000円、入院2日間、免責金額5,000円、補償割合70%の場合、免責金額を引いた後の金額は490,000円で、保険金は343,000円になります。
また、同FAQでは「1日の保険対象額が免責金額に満たない場合、保険金は支払われない」と明記されています。免責金額5,000円の契約で、1日の治療費が2,000円なら、保険金は出ません。
エイチ・エス損保の公式サイトでも、「10,000円(診療費)-3,000円(免責金額)=7,000円(保険金の計算対象)」と、診療費から免責金額を先に差し引く流れが示されています。
計算例:免責なしと免責5,000円で比べる
仕組みをつかむために、補償割合70%で、免責金額が「なし」の場合と「5,000円(1回の通院ごと)」の場合を、免責金額を先に引く計算で比べてみます。以下は理解のための仮の例です。
| 1回の診療費 | 免責なし(70%) | 免責5,000円(70%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 3,000円 | 2,100円 | 0円 | 2,100円 |
| 10,000円 | 7,000円 | 3,500円 | 3,500円 |
| 30,000円 | 21,000円 | 17,500円 | 3,500円 |
| 100,000円 | 70,000円 | 66,500円 | 3,500円 |
診療費が免責金額(5,000円)以上であれば、免責ありの場合の受取額は、1回あたり3,500円(=5,000円×70%)ずつ少なくなる計算です。逆に、診療費が5,000円に届かない少額の通院では、免責ありだとまったく保険金が出ません。
通院が多いと、差は積み重なる
たとえば、月に2回通院して、毎回の診療費が5,000円以上かかるとします。免責金額が「通院1日ごと」に適用される契約なら、年に24回通院すれば、24回×3,500円=84,000円分、受取額が少なくなる計算です。これは仮の例ですが、シニア期ほど「少額の通院を何度も」というケースが増えるので、免責の影響は無視できません。
シニア犬の1年を想定した比較(仮の例)
もう少し身近な場面で比べてみます。補償割合70%で、免責金額は「通院1日・入院1日ごとに5,000円」と仮定します。以下は仕組みを理解するための仮の数字です。
| 想定する1年間 | 診療費の合計 | 免責なしの保険金 | 免責5,000円の保険金 |
|---|---|---|---|
| A:月1回、1回5,000円の通院(年12回) | 60,000円 | 42,000円 | 0円 |
| B:月1回、1回8,000円の通院(年12回) | 96,000円 | 67,200円 | 25,200円 |
| C:入院3日・手術で診療費300,000円 | 300,000円 | 210,000円 | 199,500円 |
Aのように、毎回の診療費が免責金額ちょうどの場合は、免責ありだと1年間ずっと保険金が出ません。Bでは1回あたり2,100円(3,000円×70%)しか支払われず、年間で約4万円の差が出ます。一方、Cのような大きな治療では、免責ありでも差は10,500円(免責金額5,000円×3日×70%)にとどまります。
つまり、免責ありは「大きな治療が中心」なら影響が小さく、「少額の通院が続く」ならまったく割に合わなくなることがあります。うちの子のように、シニア期に定期的な通院が増えてきた子の場合は、とくに慎重に見たいところです。
免責金額が適用される「単位」に注意
免責金額の金額と同じくらい大事なのが、「何に対して1回分の免責がかかるか」です。ペット&ファミリー損保の公式FAQでは、商品ごとに次のように異なると説明されています。
- 「げんきナンバーわんスリム」:通院1日・入院1日ごと
- 「げんきナンバーわんスマート」:通院1日ごと
このように、同じ会社でも商品によって適用の単位が違います。ほかの保険会社では、「1回の事故(傷病)につき」「1年間の合計に対して」といった単位が使われる商品もありえます。パンフレットの「免責金額5,000円」という表記だけでは判断できないので、約款や重要事項説明書の「保険金の計算方法」の欄を確認しましょう。
免責金額ありとなし、どちらを選ぶ?
エイチ・エス損保の公式サイトでは、それぞれの特徴を次のように整理しています。
| 免責金額あり | 免責金額なし | |
|---|---|---|
| 保険料 | 抑えられる | 高めになる傾向 |
| 少額の通院 | 補償されにくい | 少額でも補償される |
| 向いている考え方 | 高額な治療に備えたい | 通院も含めて広く備えたい |
シニア犬の飼い主としての目線
私がシニア期の通院を考えたときの整理は、次のとおりです。
- 慢性的な持病で定期通院が続く可能性がある→免責なし、または免責が小さい商品が合いやすい
- 大きな手術や入院のときだけ助けてほしい→免責ありで保険料を抑える選択もある
- 保険料と受取額のどちらを優先するか、毎月の家計と相談して決める
「どちらが正解」というより、「何に備えたいか」と「毎月いくらまで払えるか」で決めるのが現実的です。
免責金額と間違えやすい言葉
見積りや約款には、似た言葉がほかにもあります。
- 免責事由:保険金が支払われない原因(例:約款で対象外とされている病気やケガ)
- 免責期間(待機期間):契約してから、一定期間は補償が始まらない期間
「免責」とつく言葉は複数あり、それぞれ意味が違います。免責金額は「金額」の話、免責事由や免責期間は「対象になるかどうか」「いつから対象か」の話です。
契約前に確認する手順
最後に、免責金額を比べるときの確認手順をまとめます。
- 見積りで、免責金額「あり」「なし」の両方の保険料を出してもらう
- 約款・重要事項説明書で、免責金額が「何に対して」適用されるか(通院1日ごと、1傷病ごとなど)を確認する
- 年間の通院回数を想定し、免責金額で自己負担がいくら増えるかを試算する
- 保険料の差額と、自己負担の増える額を比べる
- 迷う場合は、保険会社に電話やチャットで質問する
まとめ
- 免責金額は、診療費のうち保険金が支払われず、飼い主さんが負担する金額
- 補償割合とは別もので、自己負担は「免責金額の分+補償割合で支払われない分」
- 診療費から免責金額を先に差し引き、そこに補償割合を掛ける流れが公式例で確認できた
- 適用の単位(通院1日ごと、入院1日ごとなど)は商品で違うので、必ず約款で確認する
- 通院が多いシニア期は、免責の影響が積み重なりやすい
よくある質問(FAQ)
Q. 免責金額は、診療費の合計に1回だけかかりますか?
商品によって異なります。たとえばペット&ファミリー損保の「げんきナンバーわんスリム」は通院1日・入院1日ごと、「げんきナンバーわんスマート」は通院1日ごとに免責金額が適用されると案内されています。ご契約の約款で確認してください。
Q. 免責金額なしのほうが、必ず得ですか?
保険料は高めになる傾向があるため、必ずしも得とは限りません。通院の頻度、治療費の見込み、毎月の保険料の負担を合わせて比べましょう。
Q. 免責金額と、自己負担割合は同じですか?
違います。免責金額は「最初に自己負担する金額」、自己負担割合は「保険金の対象になった金額のうち、飼い主さんが負担する割合」です。
Q. 少額の通院でも請求できますか?
免責金額が設定されている場合、1日の診療費が免責金額に満たなければ、保険金は支払われません。請求手続きの手間も考えて、判断してください。
